明日から逃げるより 今に囚われたい

宇多田ヒカル"BADモード"、拝聴しています。



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どういうふうに書くべきかはとても難しいですけど…トータル70分くらいあるこのアルバム、芸術として完璧に完成されている。やっぱり日本を代表するアーティストですね。もちろんいろんな新しい試みみたいなものもあるのでしょうが、根底を流れるセンスの一貫性やその強さが圧倒的なので、「宇多田ヒカル」というジャンルが拡張された、みたいに感じられますね、いや難しいけど。。


宇多田ヒカルはほとんど聞かずに大きくなってきましたけど、やっぱり実家にはFirst Loveのアルバムはあったし、いろいろと礎になってきたんだなあとは思います。しかも最近Appleデジタルマスター?なるもののおかげで驚くほど素晴らしい音質…最高な時代。たくさん享受してますありがとうございます。


あとは歌詞も本当に好きで、「誰にも言わない」が特にすごく刺さる。


"一人で生きるより 永久に傷つきたい

そう思えなきゃ 楽しくないじゃん"


"明日から逃げるより 今に囚われたい

まわり道には色気が無いじゃん"


"感じたくないことも感じなきゃ

何も感じられなくなるから"


語尾や言葉は世俗的というか口語的なんだけど、言っていることはかなり核心ついている。孤高に生きることより、もがきながらも他者とかかわって生きること。逃げるように生きることより、追うように生きること。それを推奨するではなく一個人の生き方として歌詞に落とし込める細かい助詞の選び方。レベチでダンチ、、(この言い方古い?)


RADWIMPSに「DADA」という曲があり、

"生きてる間すべて遠回り すべて大回り なのにそれなのに

近道探してみて 小回り お巡りに見つからないようにばかり"

という冒頭の歌詞が印象的。中学生だったわたしは「たしかに、人生って生まれて死ぬまで、効率主義者なら近道を選ぶ(すぐに死を選ぶ)んかな」とぼんやり考えていたが、ここまでの人生でほとんどそんな人とは出会わなかった気がする。最初に「誰にも言わない」を聞いたとき、この歌詞が異様に引っかかって気になったけど、少し違うかも?

宇多田ヒカルが指す"まわり道"は、人生そのものではなく明日を思って明日から逃げようとするという行動のことなのかも。人生行き当たりばったり、じゃないけど、"今に囚われ"、その度に選択して生きることこそが"色気"かもしれませんね。


きのう「orange」という漫画を3巻まで読みました。早く続き読みたい!ああいうふうに未来が分かれば、わたしはどうするのかな?と思うととても怖くて、でも知りたくて。未来が分からないからこそ、のびのび生きていられるのかもなーと思ったりしています。


逃げるより追う人でありたいね。というかそういう生き方でありたい。何にでも、誰にでも……おしまい。